コラム
筋トレと筋肉痛は密接に関係しています。
筋肉痛があるとトレーニング後に筋肉が硬直し、痛みを伴います。筋肉痛は筋トレの効果を感じる証拠でもあります。
筋トレを続けていると「筋肉痛の時にトレーニングをしてもいいのか」、「筋肉痛を早く治したい」という悩みや疑問が生じるかと思います。
この記事では、筋トレと筋肉痛の関係に焦点を当て、筋肉痛の原因、疲れにくい体作り、筋肉痛の回復方法、筋肉痛がある時のトレーニングが良くない理由などについて解説していきます。
目次
まずは筋トレと筋肉痛にどのような関係があるのかを見てみましょう。
筋トレをすれば誰でも経験がある筋肉痛ですが、筋肉に痛みが発生するのには原因があります。
筋肉痛は自分の筋肉の耐久性を超える運動をしたり、長時間の運動をすることで筋繊維が傷ついて、炎症するのが筋肉痛の原因です。
筋肉痛には即発性筋肉痛と遅発性筋肉痛の二種類があります。
即発性筋肉痛は運動した直後や運動中に起こる筋肉痛のことで、スポーツマンに多い種類の筋肉痛です。
強負荷の運動で水分不足になったり、筋肉が緊張した状態が長時間続くのが即発性筋肉痛の原因です。
遅発性筋肉痛は運動後数時間から数日経過して起きる筋肉痛のことで、一般的なイメージの筋肉痛は遅発性筋肉痛の方です。
原因については諸説ありますが、運動時に傷ついた筋繊維が炎症を起こしたのが遅発性筋肉痛の原因だといわれています。
筋肉痛がないトレーニングは効果が出ないのではと考えがちですが、鍛えたい部位やトレーニング内容によって筋肉痛が発生しにくい場合もあるので、筋肉痛の有無でトレーニング効果を判断するのは早計かもしれません。
筋肉痛の発生しやすいトレーニングの例として、使い慣れていない部位を動かすトレーニングや筋肉を伸ばす動きを取り入れたトレーニングがあります。
筋肉痛がない原因として他に挙げられる可能性は、トレーニングに慣れたことや筋肉痛になる前に傷ついた筋肉が回復したという場合もあります。トレーニングに筋肉が慣れた場合、以前は筋肉痛になった筋トレでも筋肉痛にならずに終わる場合があります。
筋肉の慣れではなく、負荷が不足していたり、正しいフォームでの筋トレができておらず筋肉痛にならないケースもあります。
ちゃんとトレーニングをしているつもりなのに筋肉痛がない場合は、トレーニングの内容を見直したり、正しいフォームでできているかを確認しましょう。
筋肉痛を減少させ、疲れにくい体を作るためにはいくつかの方法があります。
筋肉痛が起きにくい体を作るのに重要なのは、十分な休憩と睡眠です。
筋肉は休息中に回復し成長するため、適度な休息は筋肉痛を緩和させるために必要不可欠です。
また、栄養バランスの取れた食事と水分補給も重要です。
タンパク質やビタミン等を適切に摂取することで、筋肉の修復と成長を促進できます。
更にトレーニング前のストレッチ、軽い有酸素運動を組み合わせることで、筋肉の硬直を緩和し柔軟性を保つことができます。
年を取るほど筋肉痛が出るのが遅くなるとよく言われていますが、筋肉痛と年齢が関係しているという科学的な根拠はありません。
筋肉痛の出る時間に関係があるのは、年齢ではなく運動負荷の強弱です。筋肉痛が遅く出る遅行性筋肉痛になるのは、運動強度の低い運動が原因です。
年を取れば取るほど筋肉痛が遅くなると言われる原因は、若い人ほど強度の高い運動を行い即効性筋肉痛になりやすく、年配者は低強度の運動を行うことが多いためかもしれません。
続いて、筋肉痛を回復させる方法を見てみましょう。
食事と睡眠の質を高めるのは、筋肉痛の回復を加速させる重要な要素です。
タンパク質は筋肉のエネルギー源の一つで、タンパク質を摂取することで筋肉の疲労回復を促します。
ビタミンやミネラルも筋肉痛の回復に役立ちます。
また、十分な睡眠を確保することで、ホルモンバランスが整い、筋肉の成長と修復が促進されます。
そのため食事と睡眠は、筋肉痛を回復させる重大な鍵となります。
筋肉痛の回復において、タンパク質は欠かせない栄養素です。運動前に摂取しても効果がありますが、運動後に摂取した方が高い効果を得られます。
タンパク質は糖分と組み合わせることで、筋肉疲労の回復を促進します。
タンパク質の不足は筋力の低下に繋がるため、適切な量のタンパク質を摂取することが重要です。
タンパク質が取れる代表的な食品として鶏肉、豆類、魚、乳製品、豆腐などが挙げられます。
ビタミンやミネラルも筋肉痛の回復に関わる栄養素です。
ビタミンBは筋肉の材料になるタンパク質やアミノ酸の代謝を促進するため、摂取しておきたい栄養素の一つです。
ビタミンBは豚肉、バナナ、魚等に含まれています。
傷んでいる筋肉は乳酸が溜まった状態のため、溜まった乳酸を取り除くアミノ酸やカルシウムといったミネラルも筋肉痛の回復に役立ちます。
食事の栄養バランスに気を配りながら、筋肉痛の回復にはこれらの栄養素を摂ることが大切です。
筋肉の水分には疲労の原因になる物質を排出するという役割があります。
水分が不足している状態だと筋肉痛になりやすくなるため、筋肉痛を予防するためにも定期的な水分の補給は大事です。
飲み過ぎは禁物ですが、運動前、運動中、運動後にこまめに水分補給しましょう。
脱水状態を避けるために、喉が渇いたと感じる前に水分を取るのが水分補給のタイミングです。
睡眠には筋肉の成長を促進したり、体に残っている疲労を回復させる効果があります。
そのため、筋肉痛を早く回復させるためには十分な睡眠を取る必要があります。
睡眠中には体内でさまざまなホルモンが調節され、睡眠の1~3時間後は筋肉の修復を担う成長ホルモンの分泌が最も活発に行われます。
睡眠は疲労回復やホルモンバランスの調整に欠かせないので、筋肉痛がなかなか回復しない方は、睡眠の質を高めることを意識してみましょう。
睡眠時間を削ってトレーニングを行う人もいますが、睡眠時間が不足している場合、様々な悪影響が体に残ります。
睡眠が足りていないと睡眠中の成長ホルモンの分泌が不十分になるので、せっかく筋トレをしても効果が減少してしまいます。
睡眠不足だと集中力が低下し、万全の状態よりもトレーニングの効率が落ちる可能性が高いです。集中力の欠如が原因で、怪我をしてしまうリスクもあります。
睡眠が足りていないと肉体の疲労を回復できないので、筋肉痛の回復に時間がかかるというデメリットもあります。
トレーニング前のウォーミングアップとトレーニング後のクールダウンの効果についても解説していきます。
トレーニング前のウォーミングアップは疎かにしてしまいがちですが、筋トレの効果を高めてくれます。
ウォーミングアップの方法として挙げられるのは、ウォーキングやランニング、ストレッチです。
ウォーミングアップは筋肉の温度を上昇させて、体を運動に適した状態にする効果があります。筋肉の温度が上がると、その分だけ筋肉の反応速度が上がるため筋トレの効率が高まります。
筋肉の温度が高過ぎると筋肉に悪影響なので、高温の場所では長時間のウォーミングアップは避けましょう。
筋肉や関節をウォーミングアップでほぐすことで、捻挫や肉離れ等の怪我の予防にもなります。
筋トレしたい箇所のウォーミングアップを行うことで、その部位に意識を集中させやすくなるという効果もあります。
ウォーミングアップは筋トレ前に疲れない程度に行うのが重要なので、負荷を強くし過ぎないように注意しましょう。
トレーニング後にクールダウンすることで、堅くなった筋肉をほぐしたり、筋トレの疲労を残さないようにすることができます。
激しい運動を行った後ほど、上昇した心拍数や乱れた呼吸を元に戻したり、体をケアするためにも疲労回復や怪我の予防になるクールダウンは重要です。
ジョギングやストレッチといった全身を使った軽めの運動、マッサージなどの方法でトレーニング後のクールダウンができます。
ストレッチには様々な種類がありますが、クールダウンで行うのは反動をつけずに筋肉を伸ばしていく静的ストレッチがおすすめです。
体を冷やすアイシングや血行を良くする入浴も、クールダウンと合わせて行うと効果的です。
今までの内容を踏まえて筋肉痛の治し方をまとめました。
特定の部位の筋肉痛が酷かったり、熱を感じる場合は患部をアイシングしましょう。
筋肉の痛みが弱かったり、熱がない場合はアイシングではなく体を温める方法がおすすめです。
蒸しタオルや入浴(お風呂の温度は38~40度程度)などで傷んでいる箇所を温める血行を良くすることで、筋肉痛が残っている筋肉の回復を早めることができます。
蒸しタオルは長時間使用すると低温やけどを引き起こす可能性があるので、使う時間は十分程度にしましょう。
筋肉の痛みが激しい場合は体を温める方法だと逆効果なので、アイシングを行いましょう。
筋肉の柔軟性を高めるストレッチも筋肉痛の回復に有効な方法です。
負荷の軽い静的ストレッチを運動後やお風呂上りに行うことで、ストレッチの効果を更に高めることができます。
栄養バランスのいい食生活も筋肉痛の回復を促進します。
タンパク質やビタミンBが筋肉の成長や回復を促進してくれる栄養素ですが、健康的な生活を送るために他の栄養も取ることが大事です。
食事内容が偏っていると感じた方は、食生活の改善も意識してみましょう。
水分補給も筋肉痛の予防に大事で、運動前、運動中、運動後にこまめに水分補給しましょう。
筋肉痛を回復させるためには、質の高い睡眠は欠かせません。適度な睡眠を行うことで、筋肉の緊張や疲労を取り除くことができます。
睡眠の質は運動のパフォーマンスにも影響します。そのため、日頃から十分な睡眠を取るのを心掛けることが大切です。
筋肉痛を少しでも早く治したいのなら、睡眠不足は避けましょう。
続いて筋肉痛の時に行う追い込み筋トレが効果的なのかを見てみましょう。
筋肉痛がある時に筋トレをしてOKなのかはよくある疑問です。結論から言うと、追い込み筋トレはあまりおすすめできません。
追い込み筋トレが良くない理由は、傷ついた筋繊維を回復させる「超回復」が上手くできなくなるからです。
筋肉の超回復を終えるには24時間~48時間の休養が必要です。超回復を終えると、筋肉は以前よりも太く強くなります。
加えて、筋肉痛の影響で関節の可動範囲が狭くなっている場合が多いので、筋肉痛の時に筋トレをしても効果が出にくい可能性が高いです。
筋肉痛がある時の筋トレはおすすめできませんが、休まずに筋トレを続けたいという方は、筋肉痛のない部位の筋トレを行いましょう。
筋トレで損傷した筋繊維が回復する時、元の状態より強くなるのが超回復です。超回復に必要な時間は24時間~48時間程度です。
超回復が終わるには休息が必要ですが、長く休み過ぎると筋肉が元の状態に戻ってしまうので、休み過ぎには注意しましょう。
超回復を意識して、休息を挟むことで筋トレの効率を上げることができます。トレーニングの内容によって異なりますが、週2~3回の筋トレが超回復のサイクルと合った筋トレです。
筋肉痛は筋トレを続けると避けては通れません。
筋肉痛の原因を理解し、疲れにくい体作りを意識していくことで、効果的なトレーニングを実現できます。
また、筋肉痛がある時にはトレーニングのメニューを慎重に考えたり、適切な方法で疲労を回復することが重要です。
健康的にトレーニングを続けていくためにも、筋トレと筋肉痛の関係を理解し、適度なペースで筋トレを行いましょう。